「絞り」とはデジタル一眼カメラで上手に撮影するための重要な要素の一つで、基本的にデジタル一眼カメラでの撮影は、この絞りとシャッター速度、ISO感度を変化させて肉眼で見たのと変わらない適正露出での撮影を目指します。
もちろん現在のデジタルカメラは電子機器で精密制御されているので、プログラムオートや完全カメラ任せのオート撮影しても適正露出で撮影されたキレイな写真が撮れますが、ある程度は絞り、シャッター速度、ISO感度について理解していた方が、より思い通りに楽しい写真撮影ができると思います。
絞りの構造について知ろう
絞り機構は基本的にレンズ内部にあり、古いレンズ等ではレンズにある絞り環で手動で調節できますが、最近のレンズはカメラボディ側の操作で絞り値を選択できます。
絞りを開く
絞りを開くことを「絞りをあける」と呼び、絞りを最大に開くと「絞り開放」などと呼ばれ、光を一番多く取り込むことが出来ます。
写真の状態が絞り開放です。
見たまんまなんですが、絞りを開ければそれだけ光を多く取り込めるので、同じ明るさの写真を撮影するのに露出時間が短くて済みます。
絞りを閉じる
絞りを開けるのとは逆に、絞りを閉じる事を「絞る」「絞り込む」と呼ばれ、光の通過量を減らす操作になります。
逆に絞りを閉じると、光の取り込む量が少なくなるので同じ明るさの写真を撮影するためには露出時間を長くしなければなりません。
F値とは?
数値が小さくなるほど絞り羽根は開いて光の通る穴は大きくなり、数値が大きくなるほど絞り羽が閉じていき光の通る穴は小さくなります。
絞りの動作について
文字で説明するよりも動画を見た方が、絞りのメカニズムについて分かりやすいのでyoutubeで動画を作りましたので参考にして下さい。
絞りはレンズ側に付いており、シャッターと連動して動きます。
最近では電気的に絞りを開閉する「電磁絞り」が使われてきていますが、今のところカメラ側にある機械的なレバーの動きで絞りを開閉する「機械式絞り」が一般的です。
この動画では指で機械絞りレバーを動かして絞りを開け閉めしています。
絞りとボケとシャッター速度の関係性
絞り穴は大きいほど光を通す量が多くなるので、シャッター速度を速くできます。
反対に絞り穴を小さくすると、光を通す量が少なくなるのでシャッター速度を遅くしなければ、適切な明るさの写真が撮影出来ません。
写真で見比べると分かりやすいので比較してみます。
使ったレンズは単焦点35㎜で、フルサイズ換算で52.5㎜になります。三脚を使って構図はそのままに絞り値だけを変化させて撮影しました。
絞り開放で撮影
絞り羽根の参考動画レンズとは違うレンズですが、お人形を絞り値f1.8で撮影しました。
シャッタースピードは1/1250秒になります。
ウリ坊だけにピントが合っていますが、後ろにいるカボチャのお化けと黄色のぴよちゃんはボケまくってます。よく見ると、ウリ坊の手前から鼻先くらいまでがピント面ですね。
お尻の方は既にピントが外れています。
この、クリアに見える部分だけがピント面になります。
被写界深度が浅い写真って言い方もしますね。
絞りF/5で撮影
ずいぶんと後ろのお人形さんのディテールがハッキリしてきます。
シャッタースピードは1/160秒になります。
ピント面の幅も拡がりました。しかしよく見ると、ウリ坊手前側はボケていて、後ろ側にピントが来ていますね。
絞りf/10で撮影
シャッタースピードは1/50秒になります。
ぴよちゃんのお顔もしっかりと見えてきました。ジャックオーランタンはハッキリしてますね。
ピント面はずいぶん拡がって、ウリ坊全体にピントが合っています。
絞りf/16で撮影
シャッタースピードは1/15秒になります。
ピント面はずいぶん広がって、お人形さんどころか背景までハッキリと見えてきました。
構図はまったく同じなんですが、絞り開放とは全然雰囲気の違った写真になりましたね。
このようなピント面が広い写真を被写界深度が深い写真っていいます。
絞りの使い方の一例
絞りをコントロールすることで、ボケ量を多くして背景の余計な物をボカして消してみたり、逆に集合写真のように前列から後列までしっかりとピントが合った写真を撮影することができます。
その他に、薄暗い場所でシャッター速度を上げたい時などは絞りを開けばそれだけ光が多く入るのでシャッター速度は上げられますし、逆に明るすぎる場所では絞りを絞ることでシャッター速度を遅くすることも可能です。
絞りとシャッタースピード
絞り値を大きくしていくと、レンズ内の絞り羽は絞られていき、光を通す穴の大きさはどんどん小さくなっていきます。
光の通過量が少なくなると、適正な露出を得られる為の時間(シャッター速度)も長くなります。
絞り形状
絞り羽根は通常6枚~9枚の羽根が使われます。
この動画での絞りは、絞り羽が6枚の多角形絞りと呼ばれるもので、絞りを閉じていってもきれいな円形の絞り穴になりません。
キレイな丸型になる絞りを円形絞りと呼び、イルミネーションの丸い玉ボケなどがその絞り羽を使って撮影されている代表的な写真です。
この写真は円形絞りになるレンズで撮影したものです。キレイな〇ではありませんが、〇なんです。ちなみに、美味い具合に〇になる絞り値は決まっていて、外れると〇型ではなくなります。
珍しい物には五芒星のようなダビデ形状になる絞り羽もあります。
まとめ
僕もそうだったんですが、デジタル一眼カメラを始めたばかりの頃は絞りやシャッター速度などの関係性がイマイチ理解出来ていませんでした(僕だけ???)。
しかし、積極的に絞りやシャッター速度を弄って撮影しているうちになんとなくですが体感的に理解出来てきました。
なので、分かりやすく記事にしたつもりですが、なんとなく理解したら積極的にかつ極端に絞りを弄って撮影しているうちにスグに分かってくると思います。
いきなり本番はマズいので遊びながらイジイジしましょう!!!!
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